Japanische Klassiker mit Furigana
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あらし
嵐
島崎 藤村
Lesen Sie 嵐 (あらし) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.007 Zeichen · 108 Bildschirme
二三年は旅だと思ってごらんな。とうさんなぞも旅をするたびに自分の道が開けて来た。田舎へ行くと、友だちはすくなかろうなあ。ことに画のほうの友だちが――それだけがとうさんの気がかりだ。」
こう私が言うと、今まで子供の友だちのようにして暮らして来たお徳も長い奉公を思い出し顔に、
「次郎ちゃんが行ってしまうと、急にさびしくなりましょうねえ。人を送るのもいいが、わたしはあとがいやです。」
と、給仕しながら言った。
「あゝ、食った。食った。」
間もなくその声が子供らの間に起こった。三郎は口をふいて、そこにある箪笥を背に足を投げ出した。次郎は床柱のほうへ寄って、自分で装置したラジオの受話器を耳にあてがった。細いアンテナの線を通して伝わって来る都会の声も、その音楽も、当分は耳にすることのできないかのように。
その晩は、お徳もなごりを惜しむというふうで、台所を片づけてから子供らの相手になった。お徳はにぎやかなことの好きな女で、戯れに子供らから腕押しでも所望されると、いやだとは言わなかった。肥って丈夫そうなお徳と、やせぎすで力のある次郎とは、おもしろい取り組みを見せた。