Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あらし

嵐

島崎 藤村

Lesen Sie 嵐 (あらし) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.007 Zeichen · 108 Bildschirme

Aozora Bunko

そこから発散する油の香いも私には楽しかった。次郎は私のそばにいて、しばらくほかの事を忘れたように、じっと自分の画に見入っていた。

「ほら、お前が田舎から持って来た画さ。」と、私は言った。「とうさんなら、あのほうを取るね。やっぱし田舎のほうにいて、さびしい思いをしながらかいた画は違うね。」

「そうばかりでもない。」

「でも、あの画には、なんとなく迫って来るものがあるよ。」

私たちが次郎を郷里のほうへ送り出したのは、過ぐる年の秋にあたる。あの恵那山の見える山地のほうから、次郎はかなり土くさい画を提げて出て来た。この次郎は、上京したついでに、今しばらく私たちと一緒にいて、春の展覧会を訪ねたり、旧い友だちを見に行ったりして、田舎の方で新鮮にして来た自分を都会の濃い刺激に試みようとしていた。

まだ私は金を分けることなぞを何も子供らに話してない。匂わしてもない。しかし、私としては、そんな心持ちが自分の内に動いて来たというだけでも、子供らによろこんでもらえるように思った。目を円くしてそれを私から受け取る時の子供らの顔が見えるようにも思った。私は子に甘いと言われることも忘れ、自分が一人ぼっちになって行くことも忘れて、子供らをよろこばせたかった。