Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんなのしょうがい
嵐・ある女の生涯
島崎 藤村
Lesen Sie 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.846 Zeichen · 96 Bildschirme
そこから食事の時や寝る時に直次の家の方へ通うことにしてあった。
「でも秋らしくなりましたね。駒形の家を思出しますね」
と弟は言った。駒形の家とは、おげんの亡くなった伜が娵と一緒にしばらく住んだ家で、おげんに取っても思出の深いところであった。
「どうかすると私はまだ船にでも揺られているような気のすることも有りますよ。直さんの家の廊下が船の甲板で、あの廊下から見える空が海の空で、家ごと動いているような気のして来ることも有りますよ」
とまた弟はおげんに言って見せて、更に言葉をつづけて、
「姉さんも今度出ていらしって見て、おおよそお解りでしょう。直さんの家でも骨の折れる時ですよ。それは倹約にして暮してもいます。そういうことを想って見なけりゃ成りません。私も東京に自分の家でも見つけましたら、そりゃ姉さんに来て頂いてもようござんす。もう少し気分を落着けるようにして下さい」
「落着けるにも、落着けないにも、俺は別に何処も悪くないで」とおげんの方では答えた。「唯、何かこう頭脳の中に、一とこ引ッつかえたようなところが有って、そこさえ直れば外にもう何処も身体に悪いところはないで」