Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あるおんなのしょうがい
嵐・ある女の生涯
島崎 藤村
Lesen Sie 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.846 Zeichen · 96 Bildschirme
上京して一週間ばかり経つうち、おげんはあの蜂谷の医院で経験して来たと同じ心持を直次の家の方でも経験するように成った。「姉さん、姉さん」と直次が言って姉をいたわってくれるほどには、直次の養母や、直次が連合のおさだの受けは何となく好くなかった。おげんは弟の連合が子供の育て方なぞを逐一よく見て、それを母親としての自分の苦心に思い比べようとした。多年の経験から来たその鋭い眼を家の台所にまで向けることは、あまりおさだに悦ばれなかった。
「姉さんはお料理のことでも何でもよく知っていらっしゃる。わたしも姉さんに教えて頂きたい」
とおさだはよく言ったが、その度におさだの眼は光った。
台所は割合に広かった。裏の木戸口から物置の方へ通う空地は台所の前にもいくらかの余裕を見せ、冷々とした秋の空気がそこへも通って来ていた。おげんはその台所に居ながらでも朝顔の枯葉の黄ばみ残った隣家の垣根や、一方に続いた二階の屋根などを見ることが出来た。
「おさださん、わたしも一つお手伝いせず」
とおげんはそこに立働く弟の連合に言った。秋の野菜の中でも新物の里芋なぞが出る頃で、おげんはあの里芋をうまく煮て、小山の家の人達を悦ばしたことを思出した。