Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんなのしょうがい

嵐・ある女の生涯

島崎 藤村

Lesen Sie 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.846 Zeichen · 96 Bildschirme

Aozora Bunko

今日はここまで歩きました」

こう熊吉は言って、姉の見舞に提げて来たという菓子折をそこへ取出した。

「静かなところじゃ有りませんか。」

とまた弟は姉のために見立てた養生園がさも自分でも気に入ったように言って見せた。

「どれ、何の土産をくれるか、一つ拝見せず」

とおげんは新しい菓子折を膝に載せて、蓋を取って見た。病室で楽しめるようにと弟の見立てて来たらしい種々な干菓子がそこへ出て来た。この病室に置いて見ると、そんな菓子の中にも陰と陽とがあった。おげんはそれを見て、笑いながら、

「こないだ、お玉が見舞に来てくれた時のお菓子が残っているで、これは俺がまた後で、看護婦さんにも少しずつ分けてやるわい」

お玉とは、おげんが一番目の弟の宗太の娘の名だ。お玉夫婦は東京に世帯を持っていたが、宗太はもう長いこと遠いところへ行っていた。おげんはその宗太の娘から貰った土産の蔵ってある所をも熊吉に示そうとして、部屋の戸棚についた襖までも開けて見せた。それほどおげんには見舞に来てくれる親戚がうれしかった。おげんは又、弟からの土産を大切にして、あちこちと部屋の中を持ち廻った。

「熊吉や」