Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんなのしょうがい

嵐・ある女の生涯

島崎 藤村

Lesen Sie 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.846 Zeichen · 96 Bildschirme

Aozora Bunko

とおげんはわざと身をすぼめて、ちいさくなって見せた。

熊吉は犬の話にも気乗りがしないで、他に話題をかえようとした。弟はこの養生園の生活のことで、おげんの方で気乗りのしないようなことばかり話したがった。でもおげんは弟を前に置いて、対い合っているだけでも楽みに思った。

やがて熊吉はこの養生園の看護婦長にでも逢って、姉のことをよく頼んで行きたいと言って、座を起ちかけた。

「熊吉、そんなに急がずともよからず」

とおげんは言って、弟を放したくなかった。

彼女は無理にも引留めたいばかりにして、言葉をついだ。

「こんなところへ俺を入れたのはお前だぞや。早く出すようにしてくれよ」

それを聞いて熊吉は起ちあがった。見舞いに来る親戚も、親戚も、きっと話の終りには看護婦に逢って行くことを持出して、何時の間にか姿を隠すように帰って行くのが、おげんに取っては可笑しくもあり心細くもあった。この熊吉が養生園の応接間の方から引返して来て、もう一度姉の部屋の外で声を掛けた時は、おげんもそこまで送りに出た。

多勢で広い入口の部屋に集まって、その日の新聞なぞをひろげている看護婦達の顔付も若々しかった。