Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんなのしょうがい

嵐・ある女の生涯

島崎 藤村

Lesen Sie 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.846 Zeichen · 96 Bildschirme

Aozora Bunko

「小山さんがお亡くなりになる前の日に、頭を剃りたいというお話がありましたっけ。お家の方に聞いてからでなくちゃと言いましてね、それだけは私がお止め申しました。病院にいらっしゃる間は、よくお裁縫なぞもなさいましたっけ」

と親戚のものに話しきかせた。

長いこと遠いところに行っていたおげんの一番目の弟の宗太も、その頃は東京で、これもお玉の旦那と二人で急いで来たが、先着の親戚と一緒になる頃はやがて十一時過ぎであった。

「もう遅いから子供はお帰り。姉さんのお通夜は俺達でするからナ。それにここは病院でもあるからナ」

と宗太が年長者らしく言ったので、直次の娘はおげんの枕もとに白いお団子だの水だのをあげて置いて、子供と一緒に終りの別れを告げて行った。

親戚の人達は飾り一つないような病院風の部屋に火鉢を囲んで、おげんの亡き骸の仮りに置いてある側で、三月の深夜らしい時を送った。おげんが遺した物と云っても、旅人のように極少なかった。養子はそれを始末しながら、

「よくそれでも、こんなところに辛抱したものだ」

と言った。宗太も思出したように、

「姉さんも、俺が一度訪ねて来た時は大分落着いていて、この分ならもうそろそろ病院から出してあげてもいいと思ったよ。