Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんなのしょうがい
嵐・ある女の生涯
島崎 藤村
Lesen Sie 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.846 Zeichen · 96 Bildschirme
とお力は半分独りごとのように、「私のようなもののところへも、御恩返しをする日が来たような気もしますよ。何年となく私はこんな日の来るのを待っていたようなものですよ」
その日はこんな話が尽きなかった。
久しぶりでお三輪の出て来て見た東京は何となく勝手の違うようなところで、見るもの聞くものが彼女の心を落ちつかせなかった。ここに比べると、浦和の町の方は静かな田舎という感じが深い。着いた晩は、お三輪もお力の延べてくれた床に入って、疲れた身体を休めようとしたが、生憎と自動車や荷馬車の音が耳についてよくも眠られなかった。この公園に近い休茶屋の外には一晩中こんな車の音が絶えないのかとお三輪に思われた。
朝になって見ると、広瀬さんは早く魚河岸の方へ出掛けて行く。前の日に見えなかった料理方の人達も帰って来ていて、それぞれ一日の支度を始める。新七もじっとしていなかった。休茶屋の軒先には花やかな提灯などを掛け連ねさせ、食堂の旗を出す指図までして廻った。彼はまた、お三輪の見ている前で、食堂の内にある食卓の上までも拭いた。
そこへお力が顔を出した。
「旦那さんはそんなことまでなさらなくてもようござんす。