Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅんさじしょく
巡査辞職
夢野 久作
Lesen Sie 巡査辞職 (じゅんさじしょく) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.907 Zeichen · 63 Bildschirme
麦を売って肥料を買った残りです」
「お前はその現金を見たんか」
「いいえ。私はこの家へ来てから一度も現金を見た事はありません。私が附けた田畑の収穫の帳面尻をハジキ上げて、イクライクラ残っていると、台所から呶鳴りますと、養母さんが寝床の中で銭を数えてから、ヨシヨシと云います。それが、帳尻の合っております証拠で……いつもの事です」
「そうかそうか。成る程……」
その時に一知の背後の中の間でマユミがオロオロ泣出している声が聞えた。両親の不幸がやっとわかったらしい。
その時に又、遥か下の国道から、自動車のサイレンが聞えて来たので、草川巡査は慌てて靴を穿いて表に出た。花崗岩の敷石を飛び飛び赤土道を降りて、到着した判検事一行の七名ばかりを出迎えた。
後篇
太陽はいつの間にか高く昇って、その烈々たる光焔の中に大地を四十五度以上の角度から引き包んでいた。その眼の眩むような大光熱は、山々の青葉を渡る朝風をピッタリと窒息させ、田の中に浮く数万の蛙の鼻の頭を一つ一つに乾燥させ、地隙を這い出る数億の蟻の行列の一匹一匹に青空一面の光りを焦点作らせつつジリジリと真夏の白昼の憂鬱を高潮させて行った。