Japanische Klassiker mit Furigana
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パリさい
巴里祭
岡本 かの子
Lesen Sie 巴里祭 (パリさい) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.324 Zeichen · 60 Bildschirme
婆娑とした街路樹がかすかな露気を額にさしかけ、その下をランデ・ヴウの男女が燕のように閃いてすれ違う。新吉は七八年前、五色の野獣派の化粧をしてモンマルトルのペットだったリサを想い泛べた。がっちりした彼女の顔立ちにそれがよく似合った。当時彼女はあるキャフェで新吉からカテリイヌに対する悩みを聴いたとき新吉の鼻をつまんで言った。
――そんな恋はありきたりよ。愛なんかちっとも無い二人同志の間に技巧で恋を生んで行くのが新しい時代の恋愛よ。」
彼女が裸に矢飛白の金泥を塗って、ラパン・ア・ジルの酒場で踊り狂ったのは新吉の逢った二回目の巴里祭の夜であった。彼女は其の後だん/\奇嬌な態度を剥いで持ち前の母性的の素質を現して来たが、折角同棲した若いフェルナンドに死なれてから男に対して全く憐れみ一方の女となった。
――君もあの時分は元気だったなあ。」
そう言うと流石に彼女も悵然としたらしい様子のまゝしばらく黙った。二人は並木のシャン・ゼリゼーまで出たが闇一筋の道の両はずれに一方はコンコールドの広場に電飾を浴びて水晶の花さしのように光っている噴水を眺め、首を廻らして凱旋門通りの鱗のように立ち重なる宵の人出を見ると軽い調子になって彼女は言った。