Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
いつも、つかいの者がまいって、口で話をきめるようなことになっておった。
そのうえ、本人のおせい様は、伊勢参宮とかに出かけたきり、ながらく上方にとどまっておって、このころまで、わしのほうの用向きもなかったのだ。が、待てよ。お前いま、おせい様という名を聞いて、おどろいたようであったな」
「いいえ」
「知っているのではないか」
「いいえ」
「そうか、おせい様はな、駒形の猿屋町、陸尺屋敷のとなりにあった、雑賀屋と申した小間物問屋の後家なのだ。いまは、 下谷同朋町の拝領町屋に、女だけの住まいをかまえておる。見ようによっては老けても若くも見えるそうだが、まだ美しさの残っておる女だ。世間知らずの、子供のような人でな、あれに悪い虫がついたならば、いかな雑賀屋の大財産も、一たまりもないであろう。案外、そんなことかもしれぬぞ」
お高は、若松屋惣七のいうことを、聞いてはいなかった。考えがあたまを駈けめぐって、何をいわれても聞こえなかった。
お高には、すべてがわかった。なぜ名前が出るまで、気がつかなかったろう。磯五も、おせい様のことを話すとき、誰か凄腕の、そして正直一轍の金がかりがついているといって、自分はすぐ、それは若松屋さまにきまっていると思ったほどではないか。