Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
じっさいお高は、何度となく、思い切ってそのことをいおうかと思ったのだが、女同士のこころもちから、磯屋に寄せているおせい様の純真な愛と信が、あまりにいたましくて、口まで出かかっても、いえないでいるのである。が、これをいわない以上、おせい様は、お高のことばを取り上げるふうもないのだ。
たとえおせい様が、これでいささかのうたがいを起こして、直接磯五に事の真偽をたしかめるとしても、磯五として、おべんちゃら一つでおせい様を丸め直すことは、すこしもむつかしいことでないにきまっている。そして、おせい様はいっそう、ちかいうちに磯屋のお内儀に迎えられることと信じこんで、ますます矢のような催促を、若松屋惣七へ向けるであろう。
しかたがない。いってしまおうと、お高は思った。
「じつは、わたくしが――」
やっぱり、いいよどんだ。おせい様は、いつのまにか、もとどおりにこにこしていた。おだやかに、お高のことばをくり返して、促した。
「はい。あなた様が――?」
「はい。あの、じつは、わたくしが――」
そこへ、さっき取り次ぎに出た十六、七の小女があらわれた。小女は、縁側の障子のかげに指をついて、いった。