Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
半刻ほど前から、お客さんが見えて、待っていなさるけれど」
「あれ、お客さまというのは、どなた」
「名はいわねえのです。おっかねえさむれえですよ」
お高は、若松屋惣七の武士時代の友だちがたずねてきたのだろうと思って、不思議に思わなかった。炭屋の若い衆へ、笑いかけた。
「そうですよ。水をかけておいてくださいよ。火もちがちがいますからねえ」
「火もちがちがいますよ」
「粉炭は、便利ですから、いつもの笊へあつめといてくださいよ」
「こな炭は、便利でさ」
炭屋の若い者は、おなじことを繰りかえしていった。お高は、笑いながら、家のなかへはいった。ちょっと自分の部屋へ寄って、顔をなおしてから、客が待っているという、中の間の座敷へ行った。そこは、先日、磯五がはじめてあらわれて、このごろのさわぎの発端となった、あの座敷だった。
お高が、縁側を進んで行って、敷居ぎわに手をつくと、そっちへ足を向けて、大の字なりに寝ころんでいた男が、むっくり起き上がって、あぐらをかいた。それは、龍造寺主計であった。
お高は、びっくりした。龍造寺主計も、不意に現われたお高を、まぶしそうにながめて、つづけさまに、眼ばたきをした。