Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
どんなことがあっても、早晩お高を妻に得ようと、倍の決心を固めて、元気よく庭のむこうの離室へかえって行った。あくる朝は早く東海道にたつのだ。
もし、このときお高が、ほんとのことを打ちあけさえすれば、その後、幾多の悲痛と苦悩は、この三人のうえにこなかったかもしれない。が、お高にその強さがなかったばかりに、この夕方からの運命は、三人を鼎の座にすえることになった。二人の男と、ひとりの女と、恋はこの時代から、ときとして三角だったのだ。
三
磯屋の奥は、土蔵づくりになっていて、うす暗かった。店と蔵をつなぐ渡り廊下まで来ると、磯五は、立ちどまった。客に応対する番頭や手代の声と、品物をかつぎ出す小僧たちの物音が、さわがしく聞こえてきていた。そこの廊下の下は、中庭になっていて、苔の青い石などがあった。年じゅう陽があたらないので、岩清水のようなうそ寒いものが、いつもその狭庭に立ち迷っていた。
磯五は、何かしらつめたさが背すじを走るような気がして、身ぶるいをした。そのまま、庭下駄をはいて、蔵について裏へまわろうとした。右手にお母屋の一部が腕のように伸びていて、別棟のように見えていた。