Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
お駒ちゃんは、泪のいっぱいたまった眼で磯五を見上げてから、みだれていたじぶんの裾に気がついて、膝のまえを直した。磯五は、あわてて手をおろして、笑顔をつくっておしんを迎えた。おしんは、しとやかにはいってきて、磯五のまえにすわった。
おしんは、堅気のような、堅気でないような、ようすのいい年増であった。細ながい顔であったが、眼がおっとりしているので、鋭い感じを消していた。おしんは、はじめは気がつかないふうだったが、おじぎをして顔を上げたとき、磯五を見て、びっくりした声を出した。
「おや。あなたさまは麻布の馬場屋敷の旦那様ではございませんか」
磯五は、それを聞かないふりをした。
「わたしが磯屋五兵衛だ。これは妹のお駒です」
おしんは、ともかくお駒ちゃんのほうへ挨拶をしたが、お駒ちゃんは、ぽかんと口をあけて、磯五とおしんの顔を見くらべていた。
「お名前が変わっていますもんで、ちっとも存じませんでございました」おしんは、うれしそうにつづけた。
「もう三年になりますねえ。わたしは、馬場屋敷のそばにいて、しじゅうお内儀さまの高音様にお仕立てものをさせていただいておりましたおしんでございますよ。