Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
麻布十番の馬場やしきの家は、まだそのままになっておりまして、わたくしもそこにおりますことになっているものでございますから、とにかく手紙だけはそちらへ届けようか、それとも、いっそ死んでしまおうか――とも思いまして一晩じゅう考えあぐみましたが、思い切って死ぬこともできず、こうやって、いま、何もかも、申し上げておりますのでございます――」
若松屋は、無言だ。しずかになると、下男の滝蔵が籾をひく臼の音が風のぐあいで、すぐ近くに聞こえてくるのだ。
「旦那様」お高が、あらためて呼びかけた。「わたくしは、ここに三両持っておりますでございます。どうぞこれを、磯五のほうへおまわしくださいまして、あとは、また待ってくれますように、どうぞあなたさまから、磯五のほうへ、おかけあい願えませんでございましょうか」
「馬鹿な!」
若松屋は、唾を吐くようにいった。
「だめでございましょうか」
「馬鹿な!」若松屋は、笑った。「そんなことをせんでも、そう事がわかれば、その二百五十両は、わたしが払ってやる」
お高は、紅絹のように赧い顔になった。
「いいえ、いいえ、めっそうもない! そんなことをしていただいては、冥加につきます。