Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

禅宗の坊さまが、金のことをいうなど、お高は奇妙に感じた。が、やっとひとり娘の自分がつましく食べてゆけるだけ、それも、どうやらこうやら路頭に迷わないですむ程度だったと答えると、一空さまが、その父の相良寛十郎の遺した金はいくらあったかと問いかえしたので、お高は、奇異の思いを深めながら、

「そんなことはよろしいではございませんか。父の残しました家財や地所を、お金に換えまして、しばらく持っておりましてございますが、悪い人のために、そっくりなくしまして、それから、あちこち奉公に出ましたのち、ただいまはこの若松屋様に御厄介になっておりますのでございます」

一空さまは、急に思い出して、たち上がった。

「お、餓鬼どものことを忘れておった。さ、洗耳房へ参ろう。やんちゃども、待ちくたびれておるに相違ない」

三

風のひどい日だ。空がうなっているのだ。樹々は、髪を振り乱して泣き叫んでいる狂女のむれだ。眼に見えないうずまきが、玉のように往来をころがって行って、家々の塀にぶつかって爆発するのだ。砂けむりが上がっていた。いつのまにか来て江戸をかきまわしているのはこの眼も口もあけない暴風だ。