Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
「もしさような金持ちでなかったら、おゆうさんは、わしの女房になったところじゃ」
わけがわからないので、お高が黙っていると、一空さまはひとりで、良人の相良寛十郎にも娘のお高にも、おゆうが財産を遺していないというのが不審だと、しきりにいいつづけている。おゆうにほかに子供があったのではないかとさえ、きくのだ。お高は、すっかりその話に飽きてしまっていた。自分には兄弟も姉妹もないし、母に隠し児があったなどとは、想像もできない。聞いたこともない。そう答えると、
「おゆうさんは、あんたの幾つのおりになくなられたかな」
「あたくしを生みなすって八月目に、おなくなりなすったのだそうでございます」
「不思議じゃ。あの大財産はどこへ行ったのじゃ。高価な香炉は、どうなったであろう。誰が継いでおるのか」
「聞いたこともありませんでございます」
「それが、不思議じゃ。じつに、異なことじやわい」
それきり、ふたりとも黙りこんでゆくと、金剛寺門前町をすこし楼門へ寄ったところに、大きな店のあるのに気がついた。それが、新たにできた、問題の万屋であった。
和泉屋という金看板が、風にきしんで、鳴っていた。