Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
あわただしい叫び声が、そこにもここにも揚がった。その中を、男伊達風の連中が、隊を組んでねり歩いていた。
いつのまにか、ぎっしり往来をうずめて、身うごきもならない人出だ。みんな血走った眼をして、顔じゅうを口にしてわめいているのだ。近くの武家屋敷から警備に出た仲間たちや、御用火消しなどのいかめしい姿が、人浪のあいだにちらほら見えていた。金剛寺の若い学僧たちも、肩をいからして、道ばたに立ちならんでいた。一空さまは、彼らと顔が合うと、大声に笑って、二人の女をまもるようにして歩いて行った。
「餓鬼どもは、事なく通ったろうな」
「ええ。子供ははしっこいから、駈け抜けたでございましょうよ」
そこは、和泉屋の前であった。
多勢で大戸をおろす音が、戦争か何ぞのようにあわただしく聞こえていた。と思うと、一時に恐ろしい叫喚が生まれて、あっというまに、非常な力で、群衆が和泉屋へ殺到しだしたのだ。
それに押されて、お高は、骨が折れるかと思ったとき、つれのふたりが、人ごみに呑まれ去っているのを知った。
群集
一
それは、海の面を風が渡るような速さだ。動乱する人の渦にまきこまれて、一空和尚と、その洗耳房の小母さんと呼ばれている、学童たちの世話をするお由さんとは、すぐに底に没してしまっていた。