Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
五
お高は、おせい様に見つかってはたまらないと思ったので、庄之助さんの家へ帰り次第、もう国平も起きたことであろうから、すぐ小石川へ発とうとがむしゃらに道をいそいでいた。道はそれでいいのだったが、近みちをして来てもかなりあったところを、今度は本街道をゆくので、思いのほか遠かった。気がせいて、お高は、小走りになっていた。無意識のうちに、走りつづけていた。
そこは、小川を離れて、両側は立ち木もなく陽の照りつけるところであった。塵埃をのせた土が、白く光って、はるか向こうまで伸びていた。お高は、九老僧をさして、ほとんど夢中で駈けていたが、あまり駈けたので息が切れて、それが悪かったに相違ない。突然気もちが薄れて行って、何か暗いもやもやしたものが、踊るように眼前におりてきたと思った。
そう思ったとき、彼女は、まるで戸板か何ぞのように思い切りよく道路の真ん中に倒れて、そのまま起き上がらなかった。
長い道には、しばらく人影がなかった。やがて、向こうを突っ切っている小径から、二人の人かげが出て来た。それが、路上に横たわっているお高のすがたを見かけると、いそぎ足に近づいて来た。