Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
「磯屋さま、お出初を一つ――」
磯五は、むっくり起き上がって茶をすすりながら、
「久助どんかい。おめえの奉公ぶりには、おせい様も感心していなすったよ。久助どんは、今じゃあ一番のお気に入りなのだ。まあ、ますますためを思って勤めてもらいてえ」
久助は、主人でもない磯五にそんなことをいわれて煙たそうに敷居ぎわにうずくまった。もじもじしていたが、やがてきいた。
「お妹さんは、このごろいかがでございますか」
自分の娘が、磯五の妹ということになっているので、久助は、皮肉な眼をかがやかして、磯五を見た。磯五は、そんなことは知らないし、急に妹などといわれたので、瞬間誰のことであろうと、不思議そうに考えた。が、すぐ、それはお駒ちゃんであったと気がついて、
「おう、そういえば、拝領町屋で、おめえがはじめてうまいものを食わせてくれたときに、お駒も相伴して行っていて、気分が悪くなって中座したことがあったげな。なに、このごろは達者さ。式部小路の家に、ぴんしゃんして働いているよ」
「さようですかい。それは結構でございます」
久助は、こころから安心したように、そういって立って行った。