Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

若松屋惣七がいった。

「どうも高はおれをおそれておるようだが、何もおそれることはないぞ。おれにしろ、お前にしろ、他人の迷惑にならぬ限り、おのが思うとおり暮らしてゆけばよいのだ」

お高は、自分でもわけのわからない涙が出てきていた。お高は、縁のあけ放してある座敷のほうへ近づいていたので、いそいでなみだをふいた。そのお高の眼に、袖垣を越して映ったものは、門からはいってくる磯五の姿であった。

おせい様とああいうことになり、自分ともこうなっている磯五が、どうしてのめのめとこの雑司ヶ谷へ来ているのだろう? お高は、それが不思議なようで不思議でない気がした。それよりも、すぐおせい様のことが気づかわれた。磯五に対する若松屋惣七の憎悪も、この場合、心配であった。

「五兵衛さんが来ているようですけれど、どうぞ手荒なことはなさらないでくださいまし。おせい様を苦しめるようなものでございますから」

お高がささやくと、若松屋惣七の小鼻に皺が寄った。

「心配いたすな。どうしようともせぬ。が、おせい様は気の毒じゃな。悪いやつとはわかっても、まださっぱりあきらめきれずにおるのだろう」