Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
「夢は恐ろしくなくても、その同じ夢を見ることが、おそろしいのだろう。おめえが何といおうと、おめえの顔にそう書いてあるのだ」
お駒ちゃんはびっくりして、あわてて顔をふきとるような仕草をすると、日本一太郎は笑って、
「ふいたってとれやしねえ。おいらには、ちゃんとわかるのだ。おめえは、夜ひる眠ることもできずに、その男のまぼろしを抱いて、野良犬のように、江戸の巷をほっつきまわっていたのだろう。薄情男に、石ころのように蹴られながら、その男の思い出を追っかけて、きちがいみたいに歩きまわってきたのだろう」
「そんなことはないのだよ」
「ないことがあるものか。鏡を見な鏡を。顔だって、からだだって、昔のお駒ちゃんの面影はありゃあしねえ。まるで、お駒ちゃんに似せた案山子みたようだ」
お駒が、ぎょっとすると、日本一太郎は、彼の所有物のなかで一番高価らしい、村田の銀張りをからりと投げ出すように置いて、ひと膝乗り出してきた。
「どこの何という者だ、その薄情男は」
追い詰められたような声が、お駒ちゃんの口を出た。
「日本橋式部小路の呉服屋で、磯屋五兵衛というのですよ。磯五というのですよ」