Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

「いけませんよ。あれ、いけませんよ。落っこちそうになりますよ。誰も見ていないといって、そこに旦那様がいらっしゃるじゃありませんか」

「おれは、いてもさしつかえねえのだ」

「いけませんよ」

「なぜいけねえのだ」

「なぜでもいけませんよ」

「なぜでもなぜいけねえのだ」

お美代は、そっとたち上がって、こんどは、磯五のほうを向いて、馬に乗るように磯五の膝にまたがって、いたずらそうに眼を笑わせた。

「さあ。ゆさぶってくださいよ。今度は大丈夫。落ちませんから」

「大丈夫落ちねえか」

「落ちませんよ」

磯五が、力を入れて膝をうごかすと、お美代は、きゃっきゃっと笑いこけながら、うしろへ倒れそうになって、それから、磯五の帯に手をかけてしっかりつかまり出した。

狭い部屋でふざけていて、笑い声と物音とが大きかったので、縁を近づいてくる跫音を消していた。

あし音は、部屋のまえでとまって、そこの障子がするすると開いた。

「大変なさわぎですねえ。地震かと思いましたよ」

それは、お針頭のおしんであった。おしんも磯五に負けて、よほど以前から、磯五のいうとおりになっているのであった。障子をあけたおしんは、草のように蒼い顔であった。