Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
奥まった書院づくりの一室で、縁に近く、野山の雑草、雑木をそのまま移し植えてあるので、いながらにして深山にある思いがする。忠相の趣味である。
八刻半の陽ざしは、やっと西へまわりかけて鋭い。青葉の照り返しで、畳が青い。調度も青い。忠相の顔も青い。微風が渡る。青い影が、畳にも、調度にも、忠相の顔にも揺らぐ。わざと手入れをしない雑草と雑木のあいだを、羽虫がむれをなして飛んでいるのが、その百千の翼が白く光って、日光のなかで塵が舞っているように見える。忠相は、不思議な現象を発見したように、それを見ているのだ。
やがて、あくびをした。八葉剣輪違いの紋服の着流しに包まれた、小ぶとりの膝を、そのあくびといっしょに、ぽん、とたたいて、
「そうか。死んだか」
といって、じろりと敷居ぎわを見た。そこに、黄びらに、木場と染め抜いた麻の印半纏を重ねて、白髪の髷をみせて、木場の甚がちょこなんとすわって、おじぎのような、おじぎでないような、首を曲げて考えていた。不意に、そうか、死んだかといわれて、ななめに、ぴょこりとひとつ頭をさげた。
「はい。死にましてございます。奴め、冥加な野郎でございますよ。