Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
「さようでございます。助かりましてございます。じぶんでは、まるで夢のようで、何事もとんと記憶えておりませぬそうでございますが、おりよく父親の久助と申すものが、娘の舞台を見ようとして来かかる途中から火事を知りまして、いそいで駈けつけ、小屋のすぐそとに煙に巻かれて倒れているのをやっと間に合って助けましてございます」
「それは、よかった。いやしき女ながら、心がけのよいものである」
「さようでございます。焼け死んだのは三人でございます。男女の別も判りませぬほど、焼けただれておりますが――」
「ふむ、その無理心中の三人であろう、女どもは、心柄とはいい条、可哀そうなことをいたしたな。日本一太郎はいかがいたした?」
「さ、その日本一太郎でございますが、屍骸はもとよりございませんし、屍骸がないくらいでございますから、助かったには相違ございません。が、火事以来、どこへも姿をみせませんので」
「探すな」
「はい」
忠相はふたたびほほえんで、
「それとも、探し出して、そちと突き合わせてやろうかの」
「は?」
「いや、よそう。そちが困るであろうから」
「へへへ、お殿様、御冗談で」
「冗談ではないぞ」