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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

女は出て来て、薄暗いところを選んで上がり框に腰をおろした。ちらり、ちらりと戸外を見ている。

ほんのり上気した額に、おくれ毛がへばりついて、乱れた裾前吐く息も熱そうだ。

「年増だって!」と嬌態をつくって、「年増じゃないわねえ」

同意を求めるように見上げるまなざし、老爺は黙っていた。忘れていた女の香にむせて、口がきけなかったのである。

「お爺つぁん、何ていうの、名は」

女がきいていた。その声で、はっとして年寄りの威厳を取りもどした。

「どうしたんだ。今の騒ぎは」

最初からこんなことばづかいが出ても、二人はすこしもおかしく感じないほど、父娘といっても似つかわしい。

「悪い奴に追っかけられたのさ」女はまだおどおどしていた。

「でも、お爺つぁんが助けてくれたから、もう安心だわねえ。たのもしいよ、ほほほほ、あんた何ていうの」

「わしの名か、津賀閑山」

「津賀閑山? 湯灌場買いね」

「口が悪いな」

「ほほほ、けどお手の筋でしょ?」

「まあ、そこいらかな」

「面黒いお爺さんだねえ。いっそ気に入ったわさ。惚れさせてもらおうよ」

閑山は出もしない、咳をして、吐月峰を手にした。

「いまお前さんを捜しに来た男は何だ」