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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

まい――。

いつまで張り込むつもりか。

春永とはいえ、もう往来の土に冷たい影が細長く倒れて、駿河台の森の烏の群れがさわぎ出したのに男はまだそこらをぶらついている。

そいつあわからねえ話だな

あくる日の朝。

日本橋浮世小路。

出もどりの姉おこよにやらせている名物いろは寿司、岡っ引きいろは屋文次が住まいである。

あるかなしかのさわやかな風が伊呂波ずしと染め抜いた柿色の暖簾をなぶって、どうやら暑くさえなりそうな陽のにおい。

朝湯から帰って来た文次、まだ四十にはまもあろう、素袷を引っ掛けてこうやっているところ、憎いほどいなせな男だ。

長火鉢のまえにどっかりあぐらをかいて、鰹のはしりか何かでのんびりと盃を手にしている。

朝から酒というのもちと変だが、これにはわけがある。

ほかでもない。

公儀のことは文次などにはよくわからないが、彦根様が大老職について、以前から持ち越していた異国との談判、つづいて何だかんだと鼎のわくような世のさま。今にも黒船が品川の海へ攻め寄せて来て御本丸へ大砲をぶっ放すことの、いや、それより先に江戸に大戦がおっぱじまるのと、寄るとさわると物騒な噂ばかり。