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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

「津賀とかっていう人が来たよ、お爺さんの」

「津賀? 知らねえな。ま、通してくんねえ」

手早くそこらを片づけながら、文次ははいって来る男を見た。

連雀町の湯灌場買い、例の津賀閑山で、閑山は閑山だが、これはまたおそろしくしょげ返った閑山である。蒼い顔に眉根を寄せて、今にもべそをかきそうなようす。いったいどうしたということだろう。

「お初に――」挨拶がすむとすぐ、閑山は、早瀬の堰がとれたように一気にしゃべり出した。

かれの話はこうである。

昨日、飯たきの久七という者に車をひかせて、商売用の大切な品を入れた鎧櫃と、お得意へ届ける九谷焼きの花瓶とを持たして出した。

花瓶は妻恋坂の旗下饗庭様のお邸へ、鎧櫃は向島関屋の里の自分の寮へ。

ところが、ゆうべ向島へ行って見ると、座敷の真中に花瓶が一つころがっているから、閑山驚いた、急いで駕籠を飛ばして店へ引っ返すと、ちょうど久七も帰っていたが案の条、喰い酔っていて、さっぱり要領を得ない。押したりゆすぶったりして、やっとのことで訊きただしてみると、いやはや、とんだ間違いをしたものだ!

久七め、鎧櫃を妻恋坂のお屋敷へ渡しちまって、花瓶を向島へ持って行ったという。