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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

白髪を合総に取り上げた撫付け髷、品も威もある風貌、いわば幾とせの霜を経た梅の古木のおもかげでこの玄鶯院と名乗る老翁、どうもただの隠者とは受け取れない。

遠くの物音に耳を傾けるように、たとえば世の中の動きを聞きとろうとするように、老人は態手にもたれて立っている。

近所の道場に、お面お小手と稽古の音がする。

雨のような日光――。

やがて老人はうしろを振り返って低声に呼んだ。

「守人殿、守人殿」

「は、はい」家のなかから含み声の返事。

「お呼びになりましたか」

といったが、出ては来ない。

内と外とに静かなやりとりがつづく。

「どうじゃ、新太郎は眠っているかの」

「はい、さっきまでむつかっておりましたが、今はよく眠っております」

「はははは、厄介坊主め、さすがの篁守人もそのあくたれにはほとほとてこずりおると見えるのう。はははははは」

老若二人の笑い声が、愉快そうに一つに合う。が、家の中の笑い声には、何がなし一脈のさびしさが響いていた。

玄鶯院は何事か思いついたように、

「守人殿」

「はい」

「ちと戸外へ出られてはどうじゃな」

「――」

「下世話にも病は気からと申す。いまの若さに欝気は大の禁物じゃ。