Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
「すりだ、巾着切りだ。つかまえてくれ!」
往来がにわかにざわめき立って、両側の家からも人がとび出て来る。
あけられたら百年目
前の晩のことである。あれで五つごろだったろうか。
女はいつのまにか気を失ったものとみえる――。
こつん、と誰かが軽く外部から蹴りながら、
「何だ、鎧櫃ではないか」
頭の上で声がするのが、ちょうど水の中を通って来るようにかすかに耳にはいると、女は、ぽうっと、たとえば水蓮の蕾が割れるように、おぼろげながらも意識を取りもどしたのだった。
が、身はいまだ鎧櫃にこもって荷物のように折れ曲がっている。濃い小さな闇黒が、眼に近くしっくりと押し包んでいて、朝眼がさめたときのように、女が前後の事情を思い出すまでにはちょっとのまがあった。
どこだろうここは。
本所牛の御前のお旅所のはず!
――とこの一つが心によみがえると、引き出した端をくぐらせて、もつれた糸玉を解くように、あとは、小口からすらすらと女の記憶に浮かび上がって来た。
あれは神田連雀町津賀閑山の古道具店だったかしら?
そうそう、あそこでこの鎧櫃にはいったのだったっけ。
そして、あれから?