Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
思い切ってあけて出ようか。と考えて、下からそっと覆を押し上げていたが、中の女は知らないもののがんじがらめの締め緒に錠がかかっているから、持ち上がるどころか一分だって動かばこそ。はっとした女、あらいやだ、冗談じゃないよこれは――と真剣にあわて出したとたん、またもや鎧櫃の真上に当たって、何やらひそひそささやきかわす人声。
墓場のような重苦しいあたりのようすに、それは一脈のすごみを投げて、啾々乎たる鬼気を帯びている。
「ど、ど、どうしたのだ、こ、この、よ、鎧櫃は? だ、誰が持って来おった」
きいているのは岩鼻をかむ急湍のような恐ろしい吃りだ。女は聞き耳を立てた。
「は」他の一人が答えている。「ただいま神田の津賀閑山より届けて参りました品、具足でもはいっているとみえ、だいぶ重うございまする」
具足とはよく当てたね、と女はふっとおかしくなった。
「か、か、閑山から?」
さては閑山の相識らしい。
「は、閑山からと申して、下郎が引いて参りましたで、何はともあれ、ひとまず納め置きました」
何はともあれもないものだ。めったな奴に納められちゃあかなわないねえ、この先どうなるんだろうと鎧櫃の内部で、女が息を凝らしていると、そとでは二人がなおもしきりに話し合っている。