Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
「あ、ああう」
うめき声が女の口からもれて出た。
それでもまだ、動いてはならぬ。
動いてはならぬ。
「い、生きとる、はははっははは」足を引いて、侍は笑った。
「なに、わしははじめから、立派に、い、生きとることは知りおった」
「死んだまね、ちっ! 強情な奴にござりますな」
「いや、し、失神致しておるようじゃ」
「いかが取り計らいましょう」
「そ、そちの申すとおりの美人なら、つ、使いみちもあろうて。休ませて、て、て、手当てをしてつかわせい」
「と致しますと、むこうのお屋敷へでも?」
「そうじゃ。一間に、と、床を延べて、寝かす用意を調えたうえ、たた、丹三を連れて参って、しょわせて行くとしよう」
もうのがれる術はないと、女は闇黒の中に大きな眼をあいて、二人の会話を聞いている。
「ではすぐあちらへ?」
「うむ。そ、そちも来い」
「しかし、この女をひとり残して――」
「あ、足腰が立つまいによって、にに、逃げる心配は無用じゃ」
どうぞ二人で行ってくれますようにと祈っていると。しめたっ!
しめた!
部屋を出た二人の跫音。それが前後して階段をおりて、しばらく階下に響いていたが、おいおい遠ざかっていっしょに家を離れて往くまで、女も身動き一つせずに畳にはっていた。