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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

では、この胸の疾風に乗って、女のもとに走り、自分を待ちわびているからだを抱いて、心ゆくまで泣こうか。女と二人で泣こうか――。

なんの五千石、君と寝よ。

恋はすべてである。

この水底に大小を沈めて、丸腰の気もすっぱりと、前掛けでも締めて世を渡ろうか。

川風が雨を吹き込む。

守人は身震いをして、悪夢からさめたように慨然と襟を正した。

天下の安危、静かなること林のごときあいだにも機をねらって東西に奔馳しつつある同志の誓言、これらのことが守人の頭脳にひらめくと同時に、たった今までの思慕の感傷を、われから蹴散らすような足取りで、かれは川に沿うて歩き出した。

たとえ瞬間にしろ、あんな妄念にこころをゆだねるとは、俺は何たる見下げ果てた男であろう。ことに自分には、墓へはいる前に、必ず一度はこの帰雁に血を塗らなければならない仇敵があるではないか。先哲の書、父や恩師の教えを、俺はいったいどこへきいて来たのだ。

こうして自らをしかっているうちにも、嵐に似た恋ごころは守人の心身をかきむしる。

この雨の夜を、あれは今ごろ、どこに何をしているだろう――。

眼をあいたままうなされているのが今の守人だ。