Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

辞儀を返して、守人は歩き出した。

ところが侍、なれなれしくならんで来る。

「このごろ物騒な夜道を、貴殿これからいずくへおいででござる」

自分こそ物騒だ。大きにお世話、と守人が黙っていると、

「ははははは、この刻限にこの道、これはいかさま野暮なことをおきき申した。雨の夜の北廓もまれには妙でござろう。下世話にも気散じとか申してな、武骨ながら拙者もお供つかまつろう」

守人にしては迷惑しごくな話、べつにどこといって目的のあるわけでもないが、大門をくぐろうとは思っていない。で、すぱりといってやった。

「拙者は吉原へ参る者ではござらぬ。どうかかまわずお先へ」

「いやなに、情夫は引け過ぎと申すで、そう急ぐこともござらぬ、はっはっは」と相手は少しも動じない。「それとも、惚れて通うに田舎武士は邪魔だといわるるか」

へんにもつれてくる。

喧嘩を売る気。うるさい奴につかまったな、と守人は眉をひそめた。黒い影が三々五々、すこし遅れて左右からつけて行く。

黒頭巾がひとりでしゃべりつづける。

「先刻の詩、惜しい先生が揚げられたものでござるな。拙者ごときも痛憤に耐えぬ一人じゃ」

彼がここで惜しい先生というのは、詩の作者頼三樹三郎のことで、旧臘廿五日、頼は梅田雲浜老女村岡ら三十余人とともに京師から護送されて、正月九日江戸着、目下は松山藩松平隠岐