Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
月が照れば照ったで月夜烏のように、雨が降れば降ったで雨を切ってぬれ燕の飛ぶように、かれは夜ごとに家をあけて、どこをどうぶらつくのか、暁近くこっそりと方来居の裏木戸をくぐるのが常だった。
そのときいつも必ず目をさましている玄鶯院は、そばの冷たい寝床へはいる守人をただじろりと見やるだけで、ついぞことばをかけたことはなかったが、守人は蒲団をかぶるまえに、玄鶯院に指を出して見せるのだ。それが人さし指一本のこともあるし、中指を加えて二本のことも、あるいは三本四本と指を突き出すことも、または一本も出さないこともある。
そうすると玄鶯院は、さむざむしい明け方の光のなかで、口をへの字なりにしてうなずいたり、眼を輝かしてにっこりしたり、守人の指の多いときにはほうというようにくちびるを丸く開いて見せたりする。しかし二人とも声を出すことは決してない。そして守人は、昼間は病気とか病後とかいい立てて引きこもっているのだ。
新太郎を遊ばせて他意なく見える守人と、蝙蝠のように陰から陰へと夜歩きをする守人、このふたりが同一人であるさえ、すでに奇怪なのに、朝帰って守人が老主に示す指は、果たして何を意味する?