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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

そのままで女は走った。

走りながら帯をたぐろうとすると、どしんとからだがうしろへ引かれたように感じて、追っ手の一人が帯の端を踏んだ。

ええ面倒な!

くるくるとまわして帯を残して、また一走りと踏み出したが、押えた前のあぶないのに気がつくと、女はぺたりとその場にすわってしまった。

そうして追っ手が駈け寄ったときには、女は蝦のように、大地にごろりと寝そべっていた。

自棄のやん八、どうなとなれ。

女の姿がそういっていた。

くくりのない着物から土の上に蒼白い膚がこぼれているぐあい、凄艶すぎて妖異な情景。

「洒落たまねをしやあがって――」

「太え女だ」

「白え歯を見せるから悪いんだ」

なに、たいして白い歯でもない。真っ黄色な乱杙歯だ。

「人の面に泥を塗りやがったぜ」

こりゃ全くおおせのとおり。

追いついた連中、ふうふう呼吸をしててんでで女のからだに手を掛けた。

「それ、やれ!」

「よいと来た!」

「わっしょうい!」

木遣りでも出そうな騒ぎ。やがて、総がかりで女をかつごうとしていると、そばの闇黒から、凛として科白もどきの声が響いた。

「待て。その女に用がある」

今夜はよくよく女に用のある晩だと見える。