Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
神田の親類に用たしに行った帰り、途に迷って悪者に襲われているところへ、通りすがりのあなた様に助けられまして――と女は鎧櫃のことなぞおくびにも出さずに、すらすらといってのけた。そして、
「あの、あそこはどこでござんしたろうねえ」
「明神下の四つ角だったよ」女は低声につぶやいた。
「するとあの家は、湯島妻恋坂の上あたりかしら?」
里好が聞きとがめた。
「あの家たあどの家だね」
「いえね」女はあわてた。「その、ただ空家でござんす」
「お前さん、何かえ」と里好は用事でも思いだしたように立ち上がって、「これから浅草へ帰る気かね。わしゃもう米櫃がからだから一まわりして友だちをいたぶって来るが」
「いえ、あの、自家へ帰ってもつらいことばかしでござんすから、もしお差しつかえないようでしたら、しばらくお宅へ置いてくださるわけには参りませんでしょうかねえ」
ここを先途と送る秋波は、里好には通じない。先生さっぱりとしたものだ。
「かまわないとも。独身者ののん気な世帯だ。お前さんさえいたいなら、いつまででもいなさるがいい。だが待てよ、この節はばかに人別がきびしくてな、大家のほうへは何と届けておこう?」