Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

おや! 変だぞ。

「里好さん、お留守ですかえ、もし、里好さん! いねえのかえ」

どん、どんどんどん――戸をたたいた。返事がない。

「かまうこたあねえ。あけてみな」

「あい」

安が手をかけると、意外にも、戸はさらりとあいた。日光といっしょにはいり込んで、文次は土間に立った。

そして、そこの正面の障子に、墨くろぐろと書かれた手枕舎里好宗匠つくるところの狂歌一首を読んだのである。

このたびは急な旅とて足袋はだし

たびたび来てもくるたびにむだ

南国の妖花嗜人草

あれだけの人数がどうしてああ音もなく消えうせたのか。方来居の手入れに、蟻のはい出るすきまもないほど取り囲んでおいて、万遺漏なしと不意に侵入して家内を捜索すると、おどろいたことには家人のほかに客一人いずに、家の中はがらんどうで、家族は今の今まで眠っていたらしかった。

しかし、今晩この庵で水藩高橋一派の秘密会合があって首領高橋多一郎以下十五、六人の人間が集まることになっているのは、かれらの仲間の一人となって隠密の役をつとめている遊佐銀二郎の口から知れているし、のみならず、夕刻から方来居の近くに伏せておいた腹心の者どもからも、種々雑多な風体の輩が闇黒にまぎれて続々と草庵の裏木戸に吸い込まれたというしらせもあって踏み込んだことだから、よもや間違いとは思われない