Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
文次はぐいと御免安兵衛の腕を握って、見失わないように守人の跡へ瞳を凝らしながら、
「安!」と耳打ち、「お前はどこまでもあのあとをつけて行け、饗庭の邸へ行くらしいが、何が起こっても俺が行くまで手を出すな」
「あい、承知しやした。して、親分は?」
「俺あちょっとこの閑山とこへ寄って行く」
「閑山とこへ? 戸があいてますね」
「うむ、押し込みらしいんだ」
「え! 押し込み※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
「まあ、いいってことよ。こっちは俺にまかしとけ、早く行かねえと見えなくなる」
「うん。そうだった。じゃあ親分――」
「気をつけてな」
安の姿は、返辞とともにもう闇黒に呑まれていた。守人は銀二郎を、御免安は守人を、二組の尾行がもつれもつれて、こうして神田を出はずれて行った。
あとに残った文次、そっと戸口にたたずんで家内の気配をうかがうと――、
さながら仏事でも行なっているように、灯がかんかんついて、人声がする。
この夜ふけだ!
しかも怪しいのはそれのみではない。呼吸を凝らしている文次の耳へ、陰深たる寂寞を破って、かすかに聞こえてくるのは、かの猫侍は内藤伊織のじゃらじゃら声ではないか。