Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
て行くまでとめておくのが、この、浮世とは関係のない地下の娑婆であった。
すでに、井戸へはいってくるだけの秘密を知って来る以上、それだけを一個の保証と見て、文句なしにはいることを許して差しつかえないわけだが、出て行った者の口からもれようも知れぬ。しかし、この点は実に看視が行き届いていて、訴人はもとより、すこしでも井戸のことを口外しようとするものは、いつどこからともなく襲ってくる不慮の死によって、永遠にその口をとざされてしまうのが常だった。
で、来る者は来り、去る者は去って、無言に沈み、暗黒に生きながら、夜も昼もない井底の生活はつづけられてゆく。
誰が誰やらわからない。
人殺し凶状もいよう。博奕喧嘩で江戸構えになっているやつもいるかもしれない。また、このごろの物やかましい世の中だ、幕吏につけねらわれる諸藩の浪士も、入りこんでいないとは誰がいい得る?
だが、いっさいわからない。いっせいに黒い袋をかぶって黙々として微動し、うごめいているばかり――もし、ここへ御用の者でも来て片っ端からその頭巾をはぎ、顔をむき出しにしてならべたならば、何年、何十年来のお尋ね者を発見し、思わぬ人物を見いだし、これは? とのけぞるようなことが起こるかもしれない。