Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
御免安兵衛は文次の顔を見るたびに、こんなことを言い言いしていたが、文次は、じろりと安をにらんで守人のこととなると黙っていた。そして、安兵衛をはじめ姉のおこよにも堅くいい含めて、二階に得体の知れない浪人の怪我人がいることなどは、口外はもちろん態度にも見せないようにさせていた。一度などは夜ふけてから、いきなり、
「文次、いるか、ちょっと急な用で、通りがかりに、寄ってみた。方来居のほう、うばたま組のさぐり、諸事、その後はどうじゃな」
こういって思いがけなく同心税所邦之助が乗り込んで来たとき、文次は実に、薄氷を踏む思いだった。
いつも、こういう上役は二階へ招じ上げて対談することになっているのに、その夜に限って階下で話をすることが、何らかで相手を怪しませはしないかと、文次の心配は大変なものだった。二階の守人が寝返りでもして、みしりと音がすると、邦之助が天井をにらむようにする。そのたびに文次は命の縮まる思いをした。
ではなぜ、こんな思いをしてまで岡っ引きたるいろは屋文次が、江戸中の御用の者が、草の根を分けて探している当の死に花の下手人、公儀へ弓引く不逞浪士篁守人をかばわなければならなかったか。