Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

女は、一生懸命に磯五のいうことを聞いているふうだった。するとうつむいてはきものの爪先で小石をもてあそびながら女が向きを変えた。顔が、お高に見えてきた。お高は、その女があまりに美しいので、急に何か光るものを見たように、眼さきがきらきらとした。それほど色の白い、ほっそりした美人であった。

しかし、眼鼻だちがくっきりあざやかで、大きな眼が、何かしきりにうなずきながら、ほれぼれと磯五をみつめていた。顎を襟へうずめて、上眼づかいに男を見あげているのだ。そのようすは、女のお高にも悩ましくうつって、いっぽうには、これはいよいよただ者ではないと思わせた。そして、この女も磯五に想いを寄せていて、磯五のためには何でもしようとしているのであることが、磯五を見る女の眼つきから、お高はすぐに読みとることができた。

お高は反射的に、奥の居間に待っているおせい様のことを思った。また、おせい様のことばかりではなく、さっきよりを戻してくれと磯五にくどかれたときに、あやうくそれに傾きかけたじぶんの心をも思い返していた。お高は、それを思って、ぞっと寒けのようなものに襲われた。同時に、どうしてあの磯五という人には、女という女が心を傾けるのであろうかと不思議に思った。