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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

もう、それを聞いて、どうかしようという文次ではない。

するどころか、できることなら自分も車をまわす力に手を貸して押してみたい気さえしている。世のため、というと何だか少し縁遠いようだが、それもただちに自分のことなのだ。文次にはそれが、はっきりとわかって来た。

そうなって来たある夜。

おそく寝る下町もすっかり大戸をおろして、人も草木も深沈と眠る真夜中。

突如!

浮世小路、いろは寿司の表を、割れんばかりにたたく黒い影。ちょうど下に寝ていた文次が、飛び起きて出たが、すぐにはあけない。

「誰だ、誰だ、今ごろ。何の用だ?」

「その、ちょ、ちょっと、おあけなすって。――おあけなすって。ここを。一大事、一大事でございます」

と、いう女の声。

はて――どこかで聞いたような、と思った文次が、細目に戸をあけてのぞくと、そこを外から引きあけて、ころげ込んで来た女がある。肩息で頭髪を振り乱し、遠くを駈けて来たものらしく、はいると同時にべたりとなったのを見ると、あの、一足違いで、三味線堀の里好の家から逃げられてしまった人魚のお蔦だ。

「おお、お前さんは!」

「ええ、あの、私のほうはあとで存分にお縄をちょうだい致しますから、ちょっと、私のいうことをお聞き下すって――ああ、こういうまも、もどかしい――親分様の上に大変が迫っております」