Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ていぎんじけんをろんず

帝銀事件を論ず

坂口 安吾

Lesen Sie 帝銀事件を論ず (ていぎんじけんをろんず) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.227 Zeichen · 15 Bildschirme

Aozora Bunko

あとで分かったが、キャーッという悲鳴は、ひきずられつつある人の悲鳴ではなく、それを認めた若い婦人の悲鳴であったそうな。あとで思ったが、絹をさくようなキャーッという悲鳴、物の本にはザラにあって、私は現実にはじめてきいたのであるが、人が白刃の下でまさに殺される時に、覚らずしてこんな悲鳴をおのずと発するに相違ない。

二合五勺の、そのまた二十数日の欠配。これを忠実に守って死んだ判事があったが、生き得べからざる現実の中にわれわれは生きている。ヤミをしなければ生きられぬ。タケノコ生活ができなければ、身を売り、ヤミをやり、盗みを働くほかに手がなかろう。さもなければ、判事のごとく死する以外に道はない。

つまりわれわれの四囲の現実というものは、戦争と同じように荒廃しきっているのである。戦争と同じように、と私はいったが、私は戦争そのものを知らないのだ。ただ、戦争中における私の四囲の現実を知っていたが、恐らく大部分の人々がそうであるに相違なく、大陸でノンビリ戦争していた人々などは、そのころは衣食住は保障され、わがままは通り、今の現実にくらべれば、どっちが苛烈な戦地であるやら、これを通観して、今、戦争が終った、などと、観念上に架空な言葉を押しつけても、四囲の現実というものは、なお戦争そのものなのである。