Japanische Klassiker mit Furigana
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ききょらい
帰去来
Lesen Sie 帰去来 (ききょらい) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.477 Zeichen · 31 Bildschirme
その前年の秋、私は新潟へ行き、ついでに佐渡へも行ってみたが、裏日本の草木の緑はたいへん淡く、土は白っぽくカサカサ乾いて、陽の光さえ微弱に感ぜられて、やりきれなく心細かったのだが、いま眼前に見るこの平野も、それと全く同じであった。私はここに生れて、そうしてこんな淡い薄い風景の悲しさに気がつかず、のんきに遊び育ったのかと思ったら、妙な気がした。青森に着いた時には小雨が降っていたが、間もなく晴れて、いまはもう薄日さえ射している。けれども、ひんやり寒い。
「この辺はみんな兄さんの田でしょうね。」北さんは私をからかうように笑いながら尋ねる。
中畑さんが傍から口を出して、
「そうです。」やはり笑いながら、「見渡すかぎり、みんなそうです。」少し、ほらのようであった。「けれども、ことしは不作ですよ。」
はるか前方に、私の生家の赤い大屋根が見えて来た。淡い緑の稲田の海に、ゆらりと浮いている。私はひとりで、てれて、
「案外、ちいさいな。」と小声で言った。
「いいえ、どうして、」北さんは、私をたしなめるような口調で、「お城です。」と言った。
ガソリンカアは、のろのろ進み、金木駅に着いた。