Japanische Klassiker mit Furigana
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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
Lesen Sie 幕末維新懐古談 (ばくまついしんかいこだん) von 高村 光雲 (たかむらこううん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.763 Zeichen · 6 Bildschirme
手間が細かくって、手数ばかり掛かる木彫りよりか、一つ、どうです。象牙の方をおやんなすっちゃ……」
など、親切にいってくれますが、私はぶきようで象牙などは到底彫れませんと断わり、碌にその方の話の相手にはならず逃げておりました。
その後、或る日のこと、沢田の奉公人が、風呂敷に二尺五、六寸ほどもある長い棒を包んだものを持って来ました。
「これをお預かり下さい。後刻主人が参りますから」
そういって帰って行きました。
私は一目見て、その風呂敷の中には、何が這入っているかが分りました。それは無論象牙の材である。
「ハハア、とうとうやって来たな」と私は思いました。
所へ、沢田の主人が来た。
「この象牙は熨斗を附けて差し上げます……」
という前置きで、沢田氏のいうには、
「今日は是非一つ象牙を試みて頂きたく出ましたわけで、かねがね申し上げたが御承知のない処を見ると、象牙に経験がないから謙遜してのお断わりかと思いますが、この材を差し上げることにしまして、彫って御覧になり、思うように行かなくても、御自分の材なら御心配はない。何んなりとお試しに勝手に彫って下さい。そうしてお気に入ったものが出来ましたら、手前の方へお廻し下さい。