Japanische Klassiker mit Furigana
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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
Lesen Sie 幕末維新懐古談 (ばくまついしんかいこだん) von 高村 光雲 (たかむらこううん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.451 Zeichen · 15 Bildschirme
それで住民は何を食物にしているかというと、栃の実を食べている。栃の実を取って一種の製法で水に洒して灰汁を抜き餅に作って食用にしている。それで、栃の木の所有は田地の所有と同じ格で、嫁入り婿取りなどに、栃の木何本を持って行くとかいって、数の多いのが有福の証となった位、栃の木はつまり食い料でありますから、この近在に栃の木の多いのも道理のことであります。
しかし、今は栃餅のはなしもなくなりました。その後、足尾銅山が開けて交通が便利になって以来、栃餅を食うことはやみました。銅山の仕事で、土地にも金銭が落ちる。銅を積み出した荷の帰りは米を積んで来ますから、五穀はふんだんに這入って来るので、余り旨くもない栃餅を食べるものはなくなった次第です。こうなると、栃は厄介なものになってしまい、場ふさげで、値もなくなったから、切り倒して焚いてしまって、後へ杉苗とか桐苗を植えるような始末で、栃の木は貰い手があればただでもくれたい位なものになっているのですから、東京から、ただでもいらないものを金出して買いに来るとは、物数寄な人もあったものというような顔を宿屋の主婦がしていたのも道理、一本三円でも高いといった言葉も本当のことでありました。