Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひらがげんないとりものちょう

平賀源内捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.946 Zeichen · 34 Bildschirme

Aozora Bunko

……おい、目ッ吉、象の肩にかかっているあの段通を引ン捲って見ようじゃないか」

「ええ、やって見ましょう」

段通に双手をかけて力任せに引き剥ぐと、ちょうど象の背中の稜からすこし下ったあたりに、ひとが一人はいるくらいの大きさに胡粉の色が変ったところがある。

伝兵衛は、目ッ吉と眼を見合せてから梯子をのぼって色の変ったあたりへ掌をあて、眼を近づけてためつすがめつしていると、真上から照りつける陽の光で胡粉の中に何かキラリと一筋光るものがある。指で摘んで見ると、それは頭髪。

「おい、目ッ吉、ここに頭髪が一本梳きこまれているが、これア古い時代のもんじゃねえ、昨日今日のもの」

目ッ吉は、含み笑いをして、

「ねえ、親方、それアたぶん美濃清の頭髪でしょう」

「どうしてそんなことが知れる」

「だって、こんな手際な仕事は素人には出来ません。……この通り、糸瓜で形をつけ、胡粉で畝皺までつくってある。……そればかりじゃない。下手な人間などはどんなことがあったって象の背中へなんぞへのぼらせない。ところで、美濃清なら、手直しとかなんとか言やア、大勢の見てる前で大っぴらにどんな芸当だって出来るんです」