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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひらがげんないとりものちょう

平賀源内捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.946 Zeichen · 34 Bildschirme

Aozora Bunko

……棒を持った象の番人などはみんな引っ込めてしまって、象が胸から血を滴らしたのは何故だろう何故だろうと、何気ないふうに触れて歩け。かならず美濃清が象を焼きに来る」

夕方からとの曇って星のない夜。

まわりは空地なので、祭礼の提燈の灯もここまではとどかない。

蓬々の草原に、降るような虫の声。

濃い暗闇のなかに墨絵で描いた松が一本。

その幹へさしかけにした葭簀囲いの間から、闇夜にもしるく象の巨体が物の怪のようにぼんやりと浮きあがっている。

祭礼のさざめきもおさまって、もう、かれこれ丑満。

蛍火か。……象の脚元で火口の火のような光がチラと見えたと思うと、どうしたのか、象が脚元からドッとばかりに燃え上った。

乾き切っていたところと見え、前脚にメラ/\とたちあがった火が、舐めずるように胴のほうへ這って行き、瞬く間に大きな象の身体を紅蓮の焔でおし包んでしまった。

象の脚元に蹲まっている一人の男。

井桁格子の浴衣に鬱金木綿の手拭で頬冠り。片袖で顔を蔽って象のそばから走り出そうとすると、人気のないはずの松の根方から矢庭に駈け出した一人。

「野郎ッ!」

間をおかずに、今度は葭簀の裏からまた一人。